強引同期が甘く豹変しました
「あのさ、あんたってこういうこと誰にでもしちゃうわけ?」
「どういうこと?」
「だから…その、今みたいなことだよ。寒いと、誰彼かまわず抱きしめるのかって聞いてんの。っていうか、好きな人いるんでしょ?だったらこういうことは」
「本当おまえはキーキーうるっさいなー。別に、誰にでもするわけじゃねーから。ちょっと黙ってろ」
矢沢はそう言うと、私の頭を抱え、強引に自分の胸に埋めた。
「ちょっ…苦しいんだけど」
「俺も」
「はい?」
無理矢理顔を上げ、矢沢の方を見た。
すると矢沢はいきなり真面目な顔で口を開く。
「重くて…苦しい」
「はぁ!?」
勝手に抱き寄せてきたくせに重いだ?
「ウソウソ」
ムッとなった私を見て、矢沢はそう言いながら頭をぽんぽんと撫でてきた。
「あとちょっとでいいから。ちょっとだけ」
そしてそう言うと、何故か優しく、もう一度私の髪をそっと撫でた。
…やっぱり変。矢沢が変です。
そして何故か、私も変なんです。
だって…
「わかった…もう少しだけだからね」
そんな言葉を返して、黙って矢沢の腕に抱かれてしまっていたのだから。