強引同期が甘く豹変しました
「ま、矢沢が何考えてんのかは私にもわからないけど。一応ね、情報だけは提供しておこうと思ったの。ほら、いくら過去の情報とはいえ、自分に好意を持たれてたことがあるってわかったら、矢沢の行動に対しても感じ方が変わるかもでしょ?」
「……っていうか。そんなこと聞く前からもうすでに訳わかんなくなってきちゃってるんだよ…」
「えっ⁉︎」
「いきなりマフラー巻かれたり。会社でも頭ぽんってされただけでいちいちドキドキしたりさ…。なのにあいつ、そんな私の気も知らずに酔ってるからって手繋いできたり…抱きしめてきたり。本当に私、心臓がどうにかなっちゃいそうなんだから!」
「わ、わかったわかった!だから凛子ちょっと落ち着いて…声大きい」
勢いあまって喋ったせいか、声のボリュームがつい大きくなってしまっていたらしい。
紀子に諭され、私はハッとなって落ち着きを取り戻した。
だけど、すぐにそう落ち着いてもいられないことに気付く。
「っていうか!もうそろそろ時間やばいよね?」
腕時計に視線を向けた私が紀子にそう言うと、私たちはお店を出て休憩時間ギリギリにオフィスへと戻った。