強引同期が甘く豹変しました


まぁ、とりあえず今は。頭の中にあるいろんなことを一旦忘れて…仕事だ、仕事。

モヤモヤする胸の内を抑えるように自分に言い聞かせると、仕事モードへと頭を切り替えて私は席についた。


「やばいじゃん!」
「おまえ本当やばいわ!」


だけど、何やらオフィスの営業部側が騒がしい。
擦りガラスの向こう側が透けて見えるけれど、そこに写っている人たちは、何故かみんな立っているように見える。

おまけにやばいやばいって、誰か、何かとんでもないミスでもやらかした?

脳内を切り替えて集中しようとしてるのに…


「マジやべー!」
「わー、なんかやばすぎて吐きそう」


ガヤガヤ声とやばいの連発が気になって、気が散ってしょうがない。


「永井さん」


と、その時。小島ちゃんに声をかけられ、私は彼女の方を振り返った。


「どしたの?」

「永井さん…営業部やばいです」

「えっ?何?何かあったの?」

「矢沢さん、ガチでやばいです」

「えっ⁉︎何⁉︎あいつ⁉︎え、あいつが何かやらかしたの⁉︎」


小島ちゃんのやばいという言葉を聞いた途端、営業部の騒がしさの原因が矢沢なのだと悟った私は、彼女から返ってくる言葉を待ちながらゴクリと息をのんだ。

< 128 / 202 >

この作品をシェア

pagetop