強引同期が甘く豹変しました
まぁ、とりあえず今は。頭の中にあるいろんなことを一旦忘れて…仕事だ、仕事。
モヤモヤする胸の内を抑えるように自分に言い聞かせると、仕事モードへと頭を切り替えて私は席についた。
「やばいじゃん!」
「おまえ本当やばいわ!」
だけど、何やらオフィスの営業部側が騒がしい。
擦りガラスの向こう側が透けて見えるけれど、そこに写っている人たちは、何故かみんな立っているように見える。
おまけにやばいやばいって、誰か、何かとんでもないミスでもやらかした?
脳内を切り替えて集中しようとしてるのに…
「マジやべー!」
「わー、なんかやばすぎて吐きそう」
ガヤガヤ声とやばいの連発が気になって、気が散ってしょうがない。
「永井さん」
と、その時。小島ちゃんに声をかけられ、私は彼女の方を振り返った。
「どしたの?」
「永井さん…営業部やばいです」
「えっ?何?何かあったの?」
「矢沢さん、ガチでやばいです」
「えっ⁉︎何⁉︎あいつ⁉︎え、あいつが何かやらかしたの⁉︎」
小島ちゃんのやばいという言葉を聞いた途端、営業部の騒がしさの原因が矢沢なのだと悟った私は、彼女から返ってくる言葉を待ちながらゴクリと息をのんだ。