強引同期が甘く豹変しました


でも…ついに掴んだ。やっと叶った。

矢沢の目指していた目標が、今日やっと達成された。

だから…聞いてすぐに、矢沢に言いたくなった。

「おめでとう!」って。
ただその一言だけでいいから。
仕事に就く前に、どうしても矢沢に伝えたかった。



「おう!」


そしたら矢沢は本当に嬉しそうにニッと笑って。


「サンキュ!」


なんて、ちょっとカッコつけるように親指を立てた。

そして、次の瞬間。


「三年越しの目標、やっと達成できたっつーことで!期待してるぞ!」

そんな矢沢の声が、オフィスに響いた。


「はっ!?何の期待よ?」

「えっ、だからメガバンクの契約とれたお祝い!」

「何で私が」

「はぁ!?普通祝うだろ、いずみ銀行だぞ?あ、もしかして永井クラスだと知らない?い・ず・み銀行」

「はい?永井クラスって何よ?いずみ銀行くらい知っとるわ!」


って……えっ。なに。


「あはははっ」
「本当おもしれーわ矢沢と永井のからみ」
「知っとるわ!って、はははっ」


私が矢沢に言い返した瞬間…何故かオフィスは笑い声に包まれていた。


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