強引同期が甘く豹変しました



とはいえ、熱があがっている二人の邪魔をするかのように、寝室をノック出来ちゃうほど私だって空気が読めないわけじゃない。


と!とにかく、私が起きたことにさえ気付いてもらえたらいいわけで……。


リビングのテーブルに置いていた携帯をそっと手に取った私は、アラーム機能を使ってすぐに目覚ましの時間を1分後にセットした。



すると、1分後。

待ってましたといわんばかりのうるさいアラーム音が静かなリビングに響き渡り、私はわざとガタンという音を立ててソファから転がり落ちた。



その直後。


「凛子⁉︎大丈夫?もしかしてソファから落ちた⁉︎」

「すごい音したぞ⁉︎」


紀子と杉崎が慌てた様子で部屋から出て来た姿を見て、我ながら小芝居がうまくいったな、なんて思いながら自分の腰をさすってみせた。



「落ちたっぽい……結構痛いし」


「ははっ、寝相悪すぎだってば」


「だね」



ケラケラ笑う紀子を見ながら、なんだか可笑しくて私も笑ってしまったけど。


付き合い始めたばかりの二人のことを想うと、今のようにまた邪魔をしちゃうわけにもいかないし。


早いこと住むところを探すために不動産屋に行かなきゃな…と感じた瞬間にもなった。


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