強引同期が甘く豹変しました
「昔は…そりゃ、いいと思ったこともあったよ?」
あぁ、私、完全に酔ってるかも。
独り言をつぶやきながら、思わず頭を抱える。
入社した頃とか、カッコイイなって…初めて見た時は、優しくて爽やかな矢沢に、好印象しかなかったし。
シャンパンを口にするたび、過去の記憶がグルグルまわっていく。
遠い記憶が、何故だか頭の中に思い出されていた。
あの頃は…思ってた。
顔も、スーツ姿が似合うスタイルも、カッコイイなって。口には出さないけど、いつも思ってた。
矢沢とは最初っから話しやすかったし。
よく話しかけられたからってのもあるんだろうけど。
打ち解けるのにも時間はかからなかった。
いつからか、矢沢におまえって呼ばれたりするようになってても、違和感は感じなかったし。
矢沢に向かってあんたって呼ぶことも、自然とそうなってたっていうか。
一緒にいてラクだった。
こういうのもいいなって。思ったこともあった。ただ、社内での矢沢人気はすごかったし。
森さんが矢沢のことが好きで…一目惚れしたって聞いてからは…
矢沢への見方を、ただの同期、ただの同僚という見方に、私はスパッと変えていったんだ。