強引同期が甘く豹変しました
「うまっ!」
そう言った声と、カチャ、と鳴った音にビクンと体が反応した。
…マジか。
目を開けると、テーブルに腕を置き、突っ伏すように寝ていたことに気がついた。
顔を上げると、目の前には矢沢がいる。
「お!おはよう」
「お…はよ」
「つーか、めっちゃうまいんだけど」
「えっ?」
「ハヤシライス。このバターライスも超うまい」
矢沢はそう言うと、ガツガツ食べ進めていく。
本来ならそれ、オムハヤシなるはずだったんですけどね。
そう思いながらも、私はふとリビングの壁にある時計に目を向けた。
時刻はあと3分ほどで、朝の7時になろうとしていた。
今、帰ってきたんだろうか。
ネクタイは外されてるけど、昨日と同じシャツのままだ。
「マジうまかった。ごちそうさま」
あっというまに食べ終わった矢沢は、律儀に手を合わせてそう言った。
私は黙ったまま、小さく頷いた。