強引同期が甘く豹変しました
「あと、なんで帰りが遅くなったのかなんだけど」
えっ、いきなり何。もしかして、昨日ここに来た女の人との話をしてくる気!?
「昨日、ここで会ったんだろ?あいつは俺の」
「ちょっ、ちょっと待って」
私は何故か慌てていた。
矢沢の話を遮るように、言葉をかぶせる。
「べ…別にそんな話いいから。だいたい…私には関係ないことだし、聞いたところでだから何って感じだし…それに…やっぱりやめようと思うの」
「は?やめるって何を」
「だから……ここに居させてもらうのも、親の前で仮の彼氏役をやってもらうのも」
「なんで」
「なんでって…」
そりゃ私だって気を使わずにはいられない。
あの女の人と矢沢の関係も、ワケありの居候とはいえ、私がここにいると…こじれちゃうかもしれないし。
それに…親にも。
「やっぱ、ウソついたってさ、結局その場しのぎになっちゃうじゃん?今回は乗り切れても、結局はバレる時がくるし」
「まぁ、確かにそうだけど」
「だから…泊めてもらったり、色々お世話になっといて申し訳ないけど…もう作戦は中止にしようと思ってる」
「は?なに思ってるって。なに中止って。おまえ、田舎帰って見合いする気?」
矢沢の表情が、一瞬にして険しく変わった。