強引同期が甘く豹変しました
まだ田舎には、帰りたくない。
それが強制的なものになるのなら、なおさらだ。
ましてやお見合いなんてしたくはない。
だけど、五年。
五年も待ってもらったんだ。
簡単に、逃げられはしない。
そんな諦めに似た気持ちも、何故か少しずつ大きくなっていく。
「約束、しちゃったのは自分だから」
「はあ?綺麗事言うなよ。それでいいのか?今まで全く知らなかったような奴と見合いして?何にも知らないとこからスタートだぞ?それでいきなり結婚して、そいつと一生一緒にいる。いいのか、おまえはそんなんで」
強い口調でまくし立てるように言われ、私は黙りこんでしまった。
なのに矢沢は、構わず続ける。
「断言しとくけど。絶対おまえは幸せになれない」
断言って。幸せになれないって。
何で…あんたにそんなふうに言われなきゃなんないの。
「だいたい甘いんだよ、同棲だってそうだ。あれだけ忠告してやったのに簡単に始めやがって。結局どうなった?二カ月でジ・エンドだろ」
…今、その話関係ある?
「相手のこともちゃんとわかってないうちから早まってスタートするからだよ。そんなんじゃうまくいくわけないし、失敗するに決まってる。見合いも同じだ。結局は失敗して後悔す」
「うるっさい!」
バンッと両手をテーブルに叩きつけた私はそのまま立ち上がり、目の前の矢沢に向かって思い切り叫んだ。
「中止って言ったら中止なの!私が決めたんだからほっといて!」
「あーそうかよ!じゃあ勝手にしろ!」
矢沢も。呆れた顔で、私にそう言い返してきた。