強引同期が甘く豹変しました
「ったくもう。わざわざカプセルホテルになんて泊まらずに、ウチに泊まればよかったのに。っていうか…凛子本気なの?」
「えっ?」
「本当に、それ中止にする気?」
全てを聞いた紀子は、やけに冷静に私に問いかけた。
「…だって、しょうがなくない?」
「何がしょうがないの?いいの?本当にそれで。仕事辞めて、田舎に帰ってお見合い結婚って…いくら親との約束でも、凛子の気持ちは?それでいいの?」
「いいのって…だって…」
「だってじゃないでしょ?」
紀子は、珍しく怒っている。
愚痴や悩みを話しても、いつも私の話を笑い飛ばして聞いてくれる紀子が。呆れたような顔で私から目をそらした。
「っていうか、何で矢沢が話そうとしたこと、ちゃんと聞かなかったの?聞かなきゃわかんないでしょ?朝まで何してたかなんて」
「そ…うだけど。なんか…なんていうか…聞きたく…なかったの」
「えっ?」
私の言葉を聞いた紀子はキョトンとした顔で私を見つめる。
だけど次の瞬間…
「ははっ、そうか。ふふっ、そういうことか」
何故かいつものように、紀子はあははっと大きく笑った。