強引同期が甘く豹変しました
「あ、噂をすればだ」
と、その時。紀子の携帯が鳴り、画面を見た紀子がそう言いながら電話に出た。
「もしもーし、私はアイダユウリではないですけど何か?」
「あははっ何それ紀子」
第一声にヤキモチがでちゃってて、また笑ってしまった。
「はい?何時に帰ろうが私の勝手じゃないですかー?」
杉崎は、余計な一言を言ってしまったなって、きっと反省はしてるだろう。
そして、嬉しくもなったんじゃないだろうか。
好きになったのは自分の方が先だけど。
相手も自分のことを好きになってくれたんだなって。
スネてる紀子を見て、愛されてるって思えてるんじゃないかなって。
なんとなく、そんな気がした。
「はいはい。わかった、うん。うん…はーい」
電話を切る頃には、紀子の話し方も少し柔らかく変わっていたし。
きっと帰ったら、ちゃんと仲直り出来るだろう。
だからもう、この話もおしまい。