強引同期が甘く豹変しました
よし、これ飲んだらお開きにしよう。
そう思って、目の前のジョッキに手を伸ばそうとした。
するとその時、今度は私の携帯がカバンの中で鳴り響いた。
ガサガサと片手をカバンに突っ込み、手探りで携帯を掴む。
「…矢沢だ」
画面を確認すると、私はぽつりとつぶやいた。
「早く出なよ」
「…うん」
コクリと頷き、私はその電話に出た。
「はい…」
「あぁ、オレオレ」
「…相変わらずその詐欺師みたいな第一声、やめてくれない?」
「ははっ、ごめんごめん」
矢沢はそう言うと、数秒の間をあけて。
「…駅で待ってるから。早く帰ってこい」
何故か優しく、私にそう言った。