強引同期が甘く豹変しました
「えっと……」
いきなりの展開過ぎて、私はとにかく焦っていた。
冷静になれ、と自分の中のもう一人の私が言っている。
だけど心の中はパニック、いや、大パニックだ。
「ほ…ん、き?」
頭がこんがらがって、話し方までおかしくなる。
「冗談で、こんなこと…言わないだろ、バカ」
頰は持ち上げられたままなのに、矢沢は目も合わせずにそう言った。
「バっ、バカって…突然そんなこと言われても、こっちだってビックリするっていうか」
だけど次の瞬間。
「で?返事は」
矢沢はそう言いながら、真っ直ぐに私を見つめた。
返事って…なんて…言えば。
「イエスかノー。二つに一つ。どっちかしかないんだからさっさと答えろ」
急かすようにそう言われ、私は息を飲む。
イエスか、ノーか。答えは、二つに一つ。
矢沢が…彼氏。私の…彼…
「うん。ノー………では…ないかな」
「なっ、なんだよそれ」
ノーと言った瞬間の、矢沢の顔。
そして、ではないかな、と言葉の続きを口にした瞬間のホッとしたような顔。
それを見て、私は思わずクスッと笑う。