強引同期が甘く豹変しました
「でも、そうやって自分を誤魔化すのは、もうやめようって思った」
矢沢はそう言うと、再び私を強く抱きしめた。
「俺じゃ、ダメか?」
耳元で響く、矢沢の声。
「30までに絶対結婚しなきゃいけないなら、別に俺でもよくね?」
「…えっ?」
「気の強いとこも、あー言えばこーいう減らず口も、おっさんみたいにビールがぶがぶ飲むとこも、何でもないところで転ぶ癖も、全部…」
おまえの全部が好きだからーー。
そう囁かれた瞬間、何故か私はギュッと矢沢の背中に手を回していた。
ダメなとこも、変なとこも、私の全てを。
矢沢は好きだと言ってくれた。
私も、そうかもしれないと思った。
すぐふざけるとこも。
モテるからって、ちょっと自信過剰なとこも。
あー言えばこーいう、面倒くさいとこも。
きゅうりが異常なくらい嫌いなとこも。
矢沢のそういうところ…
不思議と全部、受け入れられてて。
綺麗な寝顔も。影ではすっごく努力してるところも。
有言実行して、カッコよく目標を達成しちゃうとこも。
7年間。
私だけを見てくれていた、真っ直ぐで、誠実なところも。
あぁ…好きだなって。
なんか今、ハッキリとそう感じた。