強引同期が甘く豹変しました


「…んっ」


…終わった?

そっと唇が離れたので、私はゆっくりと目を開ける。

すると至近距離で私を見つめる矢沢と、バッチリ目が合った。

そして何故か…ジーッと見つめられている。


「なっ、何?」


我に返ると途端に恥ずかしくなり、私はすぐにうつむいてしまった。


「おまえ…可愛いすぎ」

ドキドキする心に、矢沢の声が、優しく落ちてくる。


「…帰って、続きしよ?」


つ、続きって…何の⁉︎
キスからの続きって、つまりそういうこと⁉︎
今日⁉︎いきなり⁉︎
ちょっと待って早過ぎない⁉︎

いや、でもこの雰囲気的には流れに身を任せて…の方がいいの⁉︎
あーーー!でも私にも心の準備ってもんが…


「なーんてな。ははっ、冗談」


もしかして焦りを感じとられた…のか?
矢沢はそう言ってふざけたように笑う。

でも…次の瞬間、言ってくれた。


「俺、別に焦ってないから。おまえのこと、大事にしたいと思ってるし。すでに7年待ててるし。ちゃんとゆっくり…進もうと思ってるから」


真剣な声で、私にそう言ってくれた。


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