強引同期が甘く豹変しました
「とりあえず…帰るか」
「…うん」
私が頷くと、矢沢は照れくさそうに手を差し伸べる。
私はその手に、自然と自分の手を重ねた。
そして二人でゆっくりと…家までの道のりを歩き出していく。
「今日はベッドで一緒に寝る、よな?」
「えっ⁉︎何で」
「何でって…そりゃ寝るだろ」
だけど結構グイグイくる矢沢に、私の心臓はドキドキしっぱなし。
「さっきはゆっくり進もうとか言ってたくせに…」
「それはそれ、これはこれ。別に一緒に寝るくらいいいじゃん」
「寝るくらい…って」
まぁ、もうすでにソファでは一緒に寝ちゃってるんだけど。
「っつーか、昨日は心配で眠れかったし。今日は一緒に寝るって言ったら寝る。さっき言ったろ?もう我慢しないって」
矢沢はそう言うと、繋がれた手をギュッと握る。
「ダメ?」
「……えっ…と…」
永井凛子、29歳の冬。
非常事態です。
同期の矢沢が、一気に甘く…豹変しました。