強引同期が甘く豹変しました
「あのさー、真木。そりゃ真木の行動範囲考えてみ?会社かジムか家にしかいなかったら、女と出会えるとこなんてないでしょ。むしろ、ジムの受付とか会社でしか女と話すことなんてないんじゃない?」
隣に座っていた紀子が、呆れたようにそう言って笑う。
「まぁ、そうだけど。筋肉ばっか作るんじゃなくて、そろそろ彼女作らなきゃなって焦ってもきてんだよなー。ほら、親とかも言ってこない?孫の顔が見たいとかさ」
浮かない顔で真木がそう言うと、隣で矢沢が口を開いた。
「じゃあ、婚活すりゃいいじゃん。街コンって知ってるか?結構な大人数の婚活パーティー。昼間に屋外とかでもあるらしいぞ?筋肉男子が好きな女子限定のとかもあるらしいし」
「うわ、マジか!それやべーじゃん!行く!絶対行く!つーか、一緒に行こうぜ矢沢」
「は⁉︎何で俺が」
「矢沢も結構いい筋肉してるしさ。長年彼女いないもの同士、仲良く行こうぜ」
真木の言葉に、私は思わずドキッとしてしまった。
矢沢と私のことは、紀子と杉崎しかまだ知らない。
私が矢沢の家に泊めてもらっていることも、矢沢と私が…付き合うことになったことも。
色々なことがめまぐるしく進んで、言い出すタイミングがなくて。
まだ、他の三人には話せていなかった。