強引同期が甘く豹変しました
朝晩の冷え込みが増し、本格的な寒さを感じ始めた1月下旬。
最近やっと住み慣れてきた彼の部屋で、私は意を決して口を開いた。
「ねぇ、私たちそろそろ……結婚とか考えたりしない?」
それは、私なりに頑張ったプロポーズだった。
本音を言えば、夢見たプロポーズのシチュエーションがあった。
結婚するなら、当然相手から言われたいって、そんな理想もあった。
だけどもう、そんなことも言ってられないところまできてしまった。
親から口酸っぱく言われ続けてきた忠告の日まで、あと三ヶ月しかないという焦りからだったのかもしれない。
今朝、リビングの壁に飾ってあるカレンダーの日付に目が止まった。
もしかしたらあの瞬間から。
今日の、1月26日という日付を見た時から。
あと三ヶ月で30歳になるというカウントダウンがリアルに始まったような気がして。
理想のプロポーズを待つ余裕なんて、私の頭の中にはなくなってしまっていたんだと思う。
それに、遅かれ早かれ結果は同じ。
プロポーズだってどっちからしたとしても、どのみち一緒になるのならその言葉なんて別にどちらからでもいい。
……そんなふうに思ったからこそ、私は覚悟を決めて結婚というワードを自分から出せたんだ。
「ほら、結婚情報誌も買ってきたの。式場なんかもいっぱい載ってるし、いろいろ見学とか行ってみようよ」
分厚い結婚情報誌をパラパラとめくりながら、私は華やかな式場が掲載されている誌面にゆっくりと視線を落とした。