強引同期が甘く豹変しました
佐々木さんには、良かったら一度内覧に行ってみる?とその場で聞かれた。
だけど私は…
「あの…もう少し考えてから改めてでもいいですか?いろいろ、考えてから」
今の条件のままいくか、希望条件を落として妥協するか。今日の段階ではまだまだ決められないと思い、結局はそう返事をした。
「なんかごめんね、せっかく紹介してくれたのに…」
「まぁ、家なんて勢いで決めるようなもんじゃないしな」
そして事務所をあとにした私たちはそんな言葉を交わしながら歩き出した。
「つーか、もう四時だな」
「早いね、なんか」
佐々木さんの事務所で物件を見たり色々と話を聞いているうちに、時間はあっという間に三時間も経過していた。
「で、どうすんだよ?」
「何を?」
「何をって、彼氏と別れたんなら帰る家ないんだろ?」
「…や、まぁ…ないけど。大丈夫」
「大丈夫って、どこで寝泊まりする気だよ?」
歩きながら話していたのに、急に矢沢の足が止まり、自然と私の足も止まった。