強引同期が甘く豹変しました
だけど、それから約30分後。
頭上を見上げながら、私は固まっていた。
「っていうか、本当に⁉︎本当にここなの⁉︎」
驚きのあまり…声のボリューム調整がおかしくなる。
「だからそうだって言ってんじゃん、うるさいなぁ」
「だっ、だって…」
そう言いながら、私は地上から真上を見上げる。
都内でも、とても便利な好立地にある某駅から徒歩三分。
たどり着いた矢沢の家は、とんでもないところだった。
「すっごいタワーマンションじゃない?これ何階建てなの?」
「あぁ、45」
「よっ、45⁉︎」
それ、涼しい顔で言える階数?
45階って、何メートルくらい?いや、何メートルとかそんなことはどうでもいい。
「矢沢、こんなすごいとこに住んでたの?っていうか住めるの?」
「住めるの?って何だよ、住んでるんだっつーの。ほら、さっさと行くぞ」
矢沢はそう言うと、門構えからしてやたらと立派なタワーマンションへと先に入っていく。
「ちょっ、置いてかないでよ」
私も慌てて、そんな矢沢の後を追った。