強引同期が甘く豹変しました
そしてーーー。
歩いていく矢沢の後ろをついて行くと、前にいた矢沢の足が止まった。
「ここ。俺んち」
矢沢はそう言って鍵を開けると、紳士的にドアを開けてくれた。
「入って」
「う…ん、お邪魔します…」
言われるまま、中に入った。
すると自動的に、玄関とそこから繋がる長い廊下に照明が点いた。
後ろでガチャ、と音がする。
「中入れよ、とりあえず」
矢沢はそう言うと、先に部屋の中に進んでいった。
「お邪魔します」
もう一度言い、私は靴を脱ぎ長い廊下を進む。
矢沢の歩いていく方についていくと、開かれたドアの向こうにはモノトーンを基調としたインテリアが映える素敵なリビングが広がっていた。
「っていうか…広っ!」
言いながら、リビングを見渡す。
「外、見ていい?」
「ははっ、だからいちいちそんなの聞くなって。勝手にどうぞ」
矢沢にそう言われ、リビングのカーテンをそっと開いた。
「わーっ…さすが39階だね。景色すごっ!超綺麗…」
目の前に広がる、キラキラした東京の街。
そこをじっと見下ろしていると、ただただ綺麗だな、なんて思って。こんなところに住んでいる矢沢が少し羨ましくなった。