強引同期が甘く豹変しました
でも、寝心地の良さそうなベッドだな。
布団もフカフカだし、グッスリ眠れそう。
私はおもむろにベッドに腰掛けるとそのまま後ろに倒れるように体を沈めた。
あぁ、やっぱりフカフカだ。
超気持ちいい…。
天井を見つめ、そっと目を閉じた。
人生最大のピンチなのに、不思議と結構いい気分だ。
本当、気持ちいい……。
「おい」
聞こえてきた声に、体がビクッと反応した。
「んっ…」
ふと目を開けると、誰かが私を見下ろしている。
えっと……って!
「えっ⁉︎」
慌てて体を起こすと、ベッド脇に立っていた矢沢が呆れ顔で言った。
「もう七時だぞ、さっさと起きろ」
「えっ、七時って…うそ⁉︎私寝ちゃってた⁉︎」
「グッスリな。しかもベッドの上で変な寝方してたから起こしてやったのに全然起きねーし。風邪ひいて俺のせいにされたら困るから、わざわざベッドの中に入れてやったんだぞ」
「そうだったんだ…ごめん。あと…ありがとう」
泊めてもらっておいて、ちゃんとお礼も言わずに勝手に寝ていたなんて。
とんでもない失態に、私は慌てて頭を下げた。