強引同期が甘く豹変しました


「あ、そういや杉崎が昨日おまえのスーツケース持ってきてくれたから」

「そうなんだ…」


あぁ、もう最悪。わざわざ持ってきてくれた杉崎にもお礼すら言えなかったなんて。

起こされるまで深々と眠ってしまっていた自分に今さらながら呆れてくる。


「つーか、俺いつも8時半出発だから」

「えっ?」

「とりあえずシャワー浴びてこい、昨日そのまんまだろ」

「あっ…うん」

「バスルームも適当に使ってくれていいし。用意出来たら言って。朝飯用意しててやるから」


矢沢はそう言うと、すぐに部屋から出ていってしまった。
っていうか…何なの矢沢。

もうっ!めっちゃいいやつじゃん!!


って、感激してる場合じゃない。
早くシャワー浴びて用意しなきゃ!


杉崎が持ってきてくれたスーツケースを広げ、下着や着替えの服を用意すると私は急いでバスルームに向かいシャワーを済ませた。

部屋に戻った私は、頭にタオルを巻いたまま先に化粧をはじめる。

目鼻立ちが結構ハッキリしているせいか、時短のナチュラルメイクでもそれなりに化粧映えする私は、朝のメイク時間はベースから含めても最短10分、通常15分もあれば完成してくれる。

髪を乾かすためにドライヤーをかける方が時間がかかるのだ。

だから化粧を済ませると、すぐに洗面所に向かい、ドライヤーで髪を乾かした。


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