強引同期が甘く豹変しました
泊めてもらってる上、こんなことまでしてくれるなんて…
「ねぇ?」
「ん?」
「矢沢ってさ。黙ってさえいたら、まさに女が理想とするような男だよね。まさかこんな朝ごはんまで用意してくれるなんて思わなかった」
私がそう言うと、目の前に腰掛けた矢沢は飲みかけのコーヒーカップを手に取り言う。
「こんなんが理想?別に普通だろ。っつーか、黙ってたらってなんだよ」
「なんだってそのまんまの意味だけど」
言いながら、パンをかじる。
っていうな、普通か?
男がキッチンに立つだけでも意外なのに、朝ごはんにサラダまでつけて用意してくれるなんて女子的はかなり理想的だと思うんですけど。
顔も良いし、背も高いし。世の中の男の中でも矢沢のルックスは上級クラスだ。
体格も、筋肉が程よくついているソフトマッチョだし、スーツがよく似合うスタイルだし。
見た目だけでも十分良い男なのに、こんなことまでデキちゃうなんて。
口さえ開かなければ、やっぱり理想的でしょ。
「あ、そうだ。コレ、一応渡しとく」
ぼんやりと目の前の矢沢を見ていると、コン、とテーブルの上で音が鳴った。
その音がした方に目を向けると、真っ白なカードと鍵が一つ、置かれていて。
私はすぐに、それが何なのかを理解した。