ふたり









☆マサキside☆






「……はぁ」


「どうかされたのですか?マサキ」





いつも通りの登校風景。

だけど俺の気持ちはいつもと明らかに違っていた。





「……何でもねぇよ」


「もしかして悩み事ですか?
わたしで良ければ相談にのりますよ」


「何でもねぇって言ってんだろ」




俺は少し歩くスピードを速くした。

だけど隣にすぐヒメが並ぶ。




「何でもないじゃありませんよ。
どうしたのですか?」


「ヒメには関係ねぇよ」




俺は逃げるように走りだした。

毎日の放課後、サッカー部の練習で鍛えている足。

美術部で体を動かすのが苦手なヒメじゃ、俺に追いつけない。





予想通り、ヒメは追いかけて来なかった。





……だけど、何でだろ。

追いかけて来ないことが、何だか寂しく感じるのは。

追いかけてほしい、って思っていたってことか?





……なわけ…ねぇよな。






< 14 / 56 >

この作品をシェア

pagetop