ふたり
☆マサキside☆
「……はぁ」
「どうかされたのですか?マサキ」
いつも通りの登校風景。
だけど俺の気持ちはいつもと明らかに違っていた。
「……何でもねぇよ」
「もしかして悩み事ですか?
わたしで良ければ相談にのりますよ」
「何でもねぇって言ってんだろ」
俺は少し歩くスピードを速くした。
だけど隣にすぐヒメが並ぶ。
「何でもないじゃありませんよ。
どうしたのですか?」
「ヒメには関係ねぇよ」
俺は逃げるように走りだした。
毎日の放課後、サッカー部の練習で鍛えている足。
美術部で体を動かすのが苦手なヒメじゃ、俺に追いつけない。
予想通り、ヒメは追いかけて来なかった。
……だけど、何でだろ。
追いかけて来ないことが、何だか寂しく感じるのは。
追いかけてほしい、って思っていたってことか?
……なわけ…ねぇよな。