ふたり
俺より10分遅れ、ヒメは教室に入ってきた。
俺の方を心配そうに1回見たけど、すぐに逸らしてしまった。
それだけで、俺を大きなモヤモヤが襲った。
きっとこのモヤモヤは…罪悪感。
「マサキ?元気ねぇな」
「……カオル」
「僕で良ければ相談、乗るけど」
「……良いのか?」
「当たり前だろ。
何年お前の傍にいると思ってる?」
「……2年」
カオルは高校に入ってすぐ即決した、部活で知り合った友達。
2年生になって初めて同じクラスになった。
今ではまるで同性の幼馴染のようにつるんでいる。
「……年数は短けぇけど、僕はマサキの親友だろ?」
ニッと健康的な白い歯を見せて笑うカオル。
俺はゆっくり頷き、全て話すことにした。
「昼休み、良いか?」
「何でも聞くぜ、我が親友!」
「……どこの青春漫画だよ」
「ははっ、気にするな!
そういや次の授業、当てられそう……」
さっきの笑顔からは想像出来ない、不安げな表情を浮かべたカオルに。
俺は自然と笑顔になっていた。