ふたり
そして昼休み。
俺はカオルを、昨日ヒメが告白されていた場所へ連れて行った。
そして見つかったら注意を受けるけど、廊下に座りこみお昼を食べた。
「ヒメが告白?さっすがヒメ!僕の予想通りだった!」
「……カオル。
俺はお前の自慢話を聞きたいんじゃねぇよ」
「わかってるって!
マサキはそれを見て、嫉妬したんだろ?」
「……嫉妬?」
「ヒメがもしオッケーしていたら許せねぇって気持ちが生まれたんだろ?」
「……ああ。
いずれは高校を卒業して、ヒメはきっと遠い大学へ行く。
ヒメの夢や才能を壊すつもりはねぇから、応援はするし、否定もしねぇ。
だけど…ヒメの隣に並ぶのは、ずっと俺だと思っていたから。
ヒメが遠くへ行くのは許すけど……。
ヒメが俺以外の誰かになるのは、許せねぇんだ」
あの笑顔や、口調や…ヒメの心が。
他の奴に向けられると思うと、気が気じゃない。
俺が俺でなくなるような、黒い気持ちに押し潰されそうだ。
「…前からヒメのことを想っていたって、偉くはねぇってのはわかってる。
偉いのは、ヒメへの気持ちをきちんと告げられる奴なんだ。
だけど…今の関係が壊れたらって考えると駄目なんだ。
気持ちを告げたくても、怖くて告げられねぇ。
しかもヒメには好きな奴がいるんだ。
見ていて癒される、可愛い奴なんて、絶対俺じゃねぇよ」
弁当を食べる手を止め、俺は蛇口のようにカオルへ喋った。