ふたり
「それで自信がなくなった、と」
俺と違い、カオルはバクバク弁当を食べ進める。
「ヒメが告白される場面を見て、嫉妬したのと同時に、ヒメの好きな奴を聞き、自信がなくなった。
それでお前はぐっちゃぐちゃになって、朝はヒメを遠ざけてしまったと…」
「もう…俺最低だよ」
走り行く俺を、ヒメはどんな目で見ていたのだろうか?
ヒメは優しい奴だから。
俺の気持ちを知れずに、同じようモヤモヤしていただろうか?
「……正直に言うな?マサキ」
「何だ。何でも言ってくれ」
「僕に恋愛経験はないから、マサキの悩みを解決する術は1個しかないんだ」
「その1個は何だ」
「ヒメに想いを伝えることしかないね。
僕にはそれ以上、解決策は浮かびませ~ん」
ごきゅごきゅと喉を鳴らして缶コーヒーを飲むカオル。
俺は缶コーヒーの底を思い切り叩いてやった。
カオルは予想通りむせた。
「ゴホゴホッ、おえっ。
お前何するんだよ、マジあり得ねぇ!!」