ふたり
「マサキ。課題は終わりましたか?」
「は?課題?」
「出されたでしょう、数学で」
「…やべぇ、やってねぇ」
「しょうがないですね」
ヒメは肩に掛けた鞄の中からノートを取り出した。
「貸してあげるよ、早めに返してくださいね。
他のクラスメイトにも貸している約束をしているから」
「サンキュ!ヒメ!!」
俺はノートを高々と持ち上げた。
そんな俺を見て、ヒメはクスッと笑った。
「行きますよマサキ。
また遅刻はごめんですからね」
「任せろって!」
この間溝に落ちてしまった猫を助けていたら、見事に遅刻してしまった。
ヒメだけ先に行けば良かったものの、ヒメは俺の鞄を持って一緒に待ってくれた。
猫は無事助けられ、動物病院へ預けに行ったけど、結局は遅刻。
「なぁヒメ、どうしてあの時俺を置いていかなかったんだ?」
「……置いて行けませんよ。
マサキは大事なわたしの幼馴染ですから」
「……サンキュ」
ニコッと笑うヒメ。
…俺がヒメの笑顔にどれだけ惚れているか、きっとヒメは知らない。