ふたり
今カオルが考えた説を実行するのなら、
俺がヒメに告白しなくてはいけない。
……緊張で心臓が破裂しそうだ。
「一石二鳥だと思わねぇか?
お前も気持ちを告げられるし、ヒメの好きな奴もわかる。
ヒメのことだから、幼馴染って関係は続行。
良いことずくめじゃねぇか!」
「……他人事だな」
「当たり前だろ。
僕はヒメと今回初めて同じクラスになったんだから」
「俺を犠牲にするつもりか」
「頑張ってねー」
立ち上がり、手を振りながらカオルは行こうとする。
しかし途中で立ち止まり、振り向き満面の笑みを浮かべた。
「怖いかもしれねぇけど、勇気を出して頑張って言ってみろ。
曖昧な気持ちでヒメの隣にいたら、いつか本気でヒメを傷つけるぞ。
今日以上に、な」
ヒメを傷つける。
…カオルは俺を動かすのが上手い。
俺がヒメを傷つけるのを何より嫌(いや)がり嫌(きら)うのを知っている。
「………ヒメ」
今、気持ちを――お前に届ける。