ふたり








放課後。

帰ろうと鞄を持ったヒメを呼び止めた。

今日はお互い部活がない日。

話すには良い機会だった。





「話がある」


「……何ですか?」


「一緒に来てくれ」





俺はゆっくりと、暴れまくる心臓に「静まれ!」と思いながら、行く宛てもなく歩く。

思えばどこで気持ちを伝えるか決めていない。





「マサキ、どこまで行くんですか?」


「……ここで良い」




俺はテキトーに廊下の真ん中で立ち止まった。

生徒は見当たらないし、何より窓から入る夕焼けが綺麗だ。




「どうしたのですか?朝から」


「……ヒメ」




ドクンドクンと心臓がうるさいぐらいに響く。

ヒメにまで聞こえそうなほど。











「お前のことが好きだっ!」






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