ふたり
「……あなた、もう少し自分の格好ご覧になってください」
俺は自分の足元を見た。
「……何か可笑しいか?」
「では1つ聞きます」
「何だ?」
「今日体育の授業なかったはずなのに、何故体操着のジャージを下に穿いているのですか?」
「だってよ…スースーするじゃねぇか?」
「あなたには女の子と言う自覚はないのですか?」
俺は再び自分の足元を眺める。
学校指定制服の膝上プリーツスカート。
その下に穿かれた、指定の赤いジャージ。
適度に緩められたネクタイ。
俺は立派な、この高校2学年に所属する立派な女子高校生だった。
「もう俺スカート嫌だ……」
「我慢しなさい」
「飛世みてぇなズボンが良かったよ、俺」
「女の子なのですから、もう少し可愛らしい格好をしなさい」
飛世は呆れたように溜息をついた。