ふたり
『はぁ…はぁ……はぁ………』
家を飛び出した俺は、公園に来ていた。
そしていつも、真咲と並んで座るベンチに腰かけた。
今の学校では、前の学校みたいにいじめられてはいなかった。
だけど、口調をからかわれたりした。
口調を直せば良い話だけど、当時の俺は“俺”と言おうとすると、喉がしまったみたいに声を出せなくなる。
敬語以外の言葉を言おうとしても、同じことになった。
真咲と、離れたくない。
いじめられてなんて、いないのに。
過去いじめられ、怪我を負った俺に、両親と姉は過保護になっていた。
俺がいじめられる限り、いつまでも転校を決意するだろう。
『……真咲………』
恋愛感情じゃなくても、大事な人。
俺はその名を、泣きながら呟いた。
『……ヒメ、見つけた』
俺は涙でグシャグシャになった顔を上げた。
『……ま…さ…き……?』