ふたり
☆真咲side☆
「それでね、俺ヒメと付き合うことになっちゃった!」
「良かったなマサ!オレも嬉しいよ」
両親が共働きの俺の家では、夕ご飯は2つ上の兄と食べるのが日課。
ちなみに兄・真輝(まき)は、ヒメの姉・飛那さんの彼氏でもある。
「だけどヒメに、もう少し女らしくしたらって言われちゃった」
「あー、それは一理あるな」
「でもよー、今更この口調とか服装直せねぇよ」
「頑張って直して、飛世に似合う彼女になれば良いだろ?
諦めるんじゃねぇよ、マサ」
俺は唇を尖らせ、ご飯を食べ進めた。
俺・海野真咲がこんな男らしいのは、兄貴のせい。
母親似の女顔で生まれた兄貴と違い、俺は父親似で生まれてきた。
兄貴はずっと下のキョウダイに憧れていたから、俺が出来た時1番喜んだのは、兄貴らしい。
だけど、兄貴が望んでいたのは、妹ではなく弟。
兄貴は、俺に男らしい格好や、男らしい口調をするよう求め、そう育てた。
両親は共にヤクザなどが出てくる映画などを好み、
男らしくなる俺を見て、止めるどころかむしろ喜んでいたらしいと言うから驚きだ。