ふたり







男に負けない男に育った俺は、近所でも評判のガキ大将になった。

喧嘩も毎日のようにして、体中絆創膏だらけになり、とっぷり暮れるまで遊び続けた。

きっと俺は当時一緒に遊んでいた男子に、女だと思われていなかっただろう。




学校では、女子に好かれなかったけど、
男子には好かれ、休み時間などはサッカーに混ぜてもらい一緒に遊んだ。

それで、俺は満足していた。




ある雨の日、俺は外で遊べず、退屈し、男子と一緒に他愛もない話をしていた。




『そういえば知っているか?
隣のクラスに、お化けが転校してきたんだとよ』


『お化けぇ?んなの世の中にいねぇだろ』


『それがよ真咲、いるみてぇなんだ』




放課後、俺は噂の“お化け”に出会う。





『おーばーけ!おーばーけ!』




男子数人に囲まれている、背の低い生徒。

背中には黒いランドセルを背負っているものの、唇を噛むその姿は、間違いなく女子だった。



俺は今まで、女子と関わってこなかった。

だからかもしれない。

その生徒――ヒメが、凄く可愛らしく見えたのは。






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