ふたり
「良かったな、真咲。お前本当に幸せそう」
「そりゃそうだよ、ヒメと付き合えたんだから」
「いつまでヒメって呼ぶんだ?」
「…もうヒメに慣れちゃった」
でもさすがに、ヒメは悪いかなぁ。
頑張って、飛世って呼べるようになるかぁ。
「そういや、飛世の両親、よく転校しないって言った飛世の気持ち受け止めたよな」
「その夜に飛那さんから教えてもらったんだけど、
飛世が俺と一緒にいたいって言ったらしいぜ」
「おっ、愛されてんなその頃から」
「うるせーよ兄貴。
そういう兄貴こそ、何で飛那さんと付き合ったんだよ」
「飛世が家を飛び出した時あっただろ?
その時、おばさんを母さんが、おじさんを父さんが大丈夫だって落ち着かせたんだよ。
それで、流れで飛那を俺が落ち着かせるって役目になったんだ。
その時に、一目惚れした」
「あの時俺が思ったのは、飛世の家と隣同士で良かったなってこと」
「それ俺も思った。
あと、母さんがシチュー作りすぎて良かったよな。
作りすぎねぇと、真咲が届けに行くこともなかったもんな」
「ああ…本当、神様のイタズラだな」
普段は信じていないけど。
ありがとう、俺たちを巡り合わせてくれて。