ふたり






薫もあたしと同様、スカートの下にジャージを穿いている。

短い黒髪も、あたしと同じく男らしい薫に似合っている。




「何で薫、あたしたちが付き合ったこと知ってるの!?」


「幼馴染カップルが付き合ったって、女子サッカー部でも有名だよ?」


「嘘っ!?」


「嘘じゃないよ。先輩が見たみたい」


「恥ずかしい……」


「良いねぇ恋愛。
僕もしたくなっちゃったよ」


「僕っ子止めれば、きっと薫さんでも恋愛出来ますよ」


「おーっ!相変わらず僕より女の子っぽいねぇ、ヒメ」


「……薫さん、俺も一応男なんですけど」


「「「えっ!?」」」




飛世が俺と言い直した瞬間、薫を含めたクラスメイトが驚いた。

…“わたし”と言って驚かれないのに、“俺”と言って驚かれるって。

そして飛世は、あたしを後ろから抱きしめた。




前はあたしより背が低かったくせに。

いつの間にか背…追い越したんだ。






「だけどわたしたちは、ずっとこのままですよ?」


「お…俺だって、このままいるぜ!な!飛世!」


「勿論ですよ、真咲」






ふたりはずっと、ふたりのまま―――。








【END】






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