ふたり
ずっと出せていなかった、進路希望表。
そこに俺は、遠い美術大学の名前を書いた。
卒業したら、その大学の寮に入ることになっている。
対して真咲は、徒歩圏内にある、映画関係の専門学校に進学を決めた。
ずっと見てきた映画の関係の仕事に、自分も就きたいと考えたのがきっかけらしい。
脚本なのか制作なのか監督なのか、詳しくは決まっていないらしいけど。
映画について話す真咲は本当に嬉しそうで、良かったと思える。
「飛世は将来、何になるんだ?」
「そうですねぇ……。
美術館の職員になりたいと思ってます」
「ナンパされるなよ?」
「……真咲こそ。
学校で良い男見つけて、好きになっちゃ駄目ですよ」
「へーきだって!
あたしには、飛世しかいないんだから」
「……本当、可愛いね真咲。癒される」
素直に、照れもせず言ってくれる真咲。
そのストレートさに、どれだけ俺が憧れてきたか。
「……んっ」
「……遠い所に行っても、俺らは俺らのままでいような、真咲」
「当たり前だろ!飛世!!」
俺たちは再び、唇を重ねた。
【TrueEND】