ふたり







俺は答えないで、ただ一時停止ボタンを押したかのように止まっていた。

すると同じく母親手作り弁当を食べていたカオルが空を見上げながら呟いた。

今日の天気はやけに綺麗な雲1つない快晴だ。






「さっきヒメ、後輩に呼ばれていたけど?」


「はっ!?」


「後輩の目を見ればわかる。あれは告白だな」


「……こ、く、は、く」


「お前はロボットか」


「……ごめんカオル。弁当1人で食っていてくれ」




俺はカオルの返事を聞かないで走り出した。




途中弁当を置きっぱなしにしたことを思い出したけど、カオルが何とか対処してくれるはずだ。

そして弁当の問題より、大変なことを俺は思い出した。





「どこに呼ばれたんだよ…ヒメ!」





つーか俺、何で告白って言葉だけで動揺してるわけ?

俺らしくねぇ。





…もしかして俺、断ち切りたいって思ってたりする?

ヒメと今の幼馴染って関係を。

近くて遠い、今の関係を。






< 6 / 56 >

この作品をシェア

pagetop