ふたり
「おいっ!」
俺は廊下を談笑しながら歩いているクラスメイトを見かけ声をかけた。
「ヒメ見かけなかったか!?」
「ヒメ?
さっき1年生に呼ばれて教室出て行ったきりだなぁ」
「多分あれ告白だろうなー…って、マサキ!?」
気が付けば走り出していた。
がむしゃらに、どこにいるかわからないくせに。
やっぱり俺、告白って単語に動揺してる。
今聞きたくねぇ単語ナンバーワンに輝ける。
ヒメのことは俺が守るって。
初めて喋ったあの日から決めていたんだ。
俺がヒメの騎士になるって。
ヒメの“1番”になるって。
だけど―――
前から思っていたって偉くはなくて。
人気なんて、出なくて良いのに。
モテなくて、良いのに。
お願いだから。
俺だけの“ヒメ”になってほしい。