ふたり
暫(しばら)く沈黙が続いた。
ヒメ…何て答えるんだ?
「……ごめんなさい」
いつもと変わらない、柔らかなヒメの声。
俺はその場でガッツポーズをした。
だけど俺のガッツポーズは、気持ちと共にズドーンッと落ちた。
「わたしには好きな人がいます。
お気持ちは嬉しいのですが、申し訳ありません」
丁重に断る、変わらないヒメの口調。
ヒメに、好きな奴?
誰だ?
誰なんだ?ソイツは。
俺の知っている奴か?
どこで出会ったんだ?
沢山(たくさん)の疑問が次々と脳内を駆け巡る。
「…………」
俺はその場に壁を背にしゃがみ込んだ。