佐々倉のカノジョ。-second-
~第一章~ 揺れる。
夏の匂い
「璃乃ちゃあ~~~ん、暑いんだけど~~っ」
「私だって暑いよ、みのりん~~」
突然ですが、私たちは只今奉仕作業の真っ最中です。
この6月の地面からの熱気と上から照りつける太陽のせいで、汗かいてしょうがない。
ちなみに私の横で頑張っているのはこのクラスで仲良くなった高坂 実里。
通称みのりん。
見た目はちょっとギャルっぽいけど、明るくて活発で頼れるお姉さんタイプの子。
下の長いジャージを膝下まで捲り、髪をポニーテールにまとめて、できるお姉さんスタイル。
ほんとにカッコよくて、女の子として少し憧れちゃったりしてる。
「なにー?そんなにあたしのこと見つめて~~?」
「ふふ、なんでもないよーっ」
彩佳のこと、立ち直った訳じゃないけど、だいぶ和らいできた。
ちゃんと、いつか話がしたい。
「おっ!兄貴じゃーんっ」
みのりんが私の後方を見てそういうから、私もつられて振り返る。
そこにいたのは、
「璃乃」
恐ろしく死んだ目をした嵐くんだった。
な、なにかあったのかな…。
そういえば、みのりんは嵐くんのことを兄貴って呼んでるんだっけ。
なんか見た目でそれっぽいかららしいけど、それってヤンキーが親分を慕うみたいな……
もんもんと考える私に、嵐くんがチョップを繰り出してくる。
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