聖夜の夜に…
初めての涙
「お母さんね、病気なの。
乳ガン。
駿を産んですぐに発症したわ。
そして、2年前にまた再発したの。
苦しかった。
5年後の生存率は20パーセント。
なら、私はあなたたちと過ごすと決めた矢先、
あの人が来年の4月に転勤することが決まったのよ。
アメリカに。
ならどうすればいいか迷ったわ。
それで毎日喧嘩していた。
だけどね、
なら、子供達に嫌われようって、
そして、あなたたちに冷たくしていた。
辛かった。
泣いている愛しの我が子を抱きしめられないのがどんなに辛いか。
穂花、だからね、
お母さんからのお願いを聞いてほしいの。」
そういって泣きながらお母さんは私に横長の白い封筒を差し出した。