『 忘れかけてた恋の色 』~ 短編 2部作~
なんだか1日がボーっと過ぎてしまった。喫煙ルームで携帯をみると P.M.5:50をまわっている。そろそろ帰ろうか…でも、なんとなく…。いつものコーヒーを片手に、いつもの公園でポスターを眺める事にした。桜の花びらが風に舞い、春の夕暮れに彩りを添えている。ポスターを見詰めていると、佐久間はまるで違う世界の人に思えてくる。このまま、佐久間は私なんかと一緒にいてもイイのだろうか…。邪魔をするだけの存在にはならないだろうか…。不安と戸惑いで頭がいっぱいになる。そんな事を考えている時だった。倉橋の携帯が鳴る。ディスプレイには「涼太」の名前が…。1時間以上も佐久間のポスターを眺めていたようだ…。