『 忘れかけてた恋の色 』~ 短編 2部作~
佐久間がまず向かったのは、コーヒーショップだった。しかし紗織の姿は何処にも無い。紗織の会社も、2人で行った映画館もレストランにも姿は無かった。時間はあと10分 ー 。ふと見上げた先に、映画のポスターが貼ってあった。
涼太:『…あ、そうかあそこだ!!』
息を切らして駅前の公園へ急いだ。見覚えのあるベージュのコートにいつものコーヒーを握りしめる人影。ベンチに座りポスターを見詰める紗織を見付けると、佐久間は大声で紗織の名を呼んだ。しかし、紗織は俯いたまま、佐久間を見ようともしない。膝に手を当てて息を整える佐久間は、まだ春先だというのに 流れる汗を拭った。
涼太:『…あ、そうかあそこだ!!』
息を切らして駅前の公園へ急いだ。見覚えのあるベージュのコートにいつものコーヒーを握りしめる人影。ベンチに座りポスターを見詰める紗織を見付けると、佐久間は大声で紗織の名を呼んだ。しかし、紗織は俯いたまま、佐久間を見ようともしない。膝に手を当てて息を整える佐久間は、まだ春先だというのに 流れる汗を拭った。