御曹司と愛され蜜月ライフ
「はーい……──」
ドアを押し開けた瞬間、まず目に飛び込んできたのは赤い色。
それが鮮やかなバラの花束だと気付いたと同時に、頭上から声が降って来る。
「無防備は相変わらずだな。女性のひとり暮らしなんだから、ドアを開ける前にちゃんと相手を確認しなさい」
呆れたような、それでいてやさしい声音。
その声の主が誰なのかすぐにわかってしまった私は、それでも信じられずに、ゆっくりと視線を上げて相手の顔を確かめる。
「か、ちょう……?」
そこにいたのは、声で予想した通り──自分が恋焦がれる近衛課長、その人だった。
社内で見ていたメガネはない。けれど課長は休日だというのに、なぜかスーツ姿で。穏やかな笑みを浮かべながら、私の目の前に立っている。
「そうだな、俺はコノエ化成の課長だ。だが今日は、そんな肩書きなんか関係なく……近衛 律というひとりの男からきみに伝えたいことがあって、こうして会いに来た」
そう言って、彼がその場に片ひざをつく。
呆然とする私の左手をとり、恭しくその手を自分の顔の前で持ち上げた。
「──卯月 撫子さん。俺はきみがすきだ」
「ッ、」
「きみをあいしている。もう、片時も離れたくない。だから──結婚を前提に、俺の恋人になって欲しい」
課長の真剣な眼差しが、斜め下から私を射抜く。
ただただ、私は驚いて。言葉も、声すら出なくて、なのに自然と両目から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。
ドアを押し開けた瞬間、まず目に飛び込んできたのは赤い色。
それが鮮やかなバラの花束だと気付いたと同時に、頭上から声が降って来る。
「無防備は相変わらずだな。女性のひとり暮らしなんだから、ドアを開ける前にちゃんと相手を確認しなさい」
呆れたような、それでいてやさしい声音。
その声の主が誰なのかすぐにわかってしまった私は、それでも信じられずに、ゆっくりと視線を上げて相手の顔を確かめる。
「か、ちょう……?」
そこにいたのは、声で予想した通り──自分が恋焦がれる近衛課長、その人だった。
社内で見ていたメガネはない。けれど課長は休日だというのに、なぜかスーツ姿で。穏やかな笑みを浮かべながら、私の目の前に立っている。
「そうだな、俺はコノエ化成の課長だ。だが今日は、そんな肩書きなんか関係なく……近衛 律というひとりの男からきみに伝えたいことがあって、こうして会いに来た」
そう言って、彼がその場に片ひざをつく。
呆然とする私の左手をとり、恭しくその手を自分の顔の前で持ち上げた。
「──卯月 撫子さん。俺はきみがすきだ」
「ッ、」
「きみをあいしている。もう、片時も離れたくない。だから──結婚を前提に、俺の恋人になって欲しい」
課長の真剣な眼差しが、斜め下から私を射抜く。
ただただ、私は驚いて。言葉も、声すら出なくて、なのに自然と両目から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。