御曹司と愛され蜜月ライフ



◇ ◇ ◇



「ふわあ……」



大きなあくびとともに、ベッドから上半身を起こした。

枕元に置いたスマホを確認してみれば、午前10時過ぎ。……一応8時半にアラームセットしてたはずなんだけど、無意識に止めて華麗に私二度寝キメたなコレ。


これが平日なら、顔面蒼白になってるところ。だがしかし今日は土曜日で、週休二日制のOLにとっては待ちに待った休日だ。こんな時間までベッドに転がり惰眠を貪っていたところで、誰に咎められることもない。

のそのそとベッドをおり、その場で思いきり伸びをした。

もうすっかり太陽がのぼっている時間とはいえ、遮光カーテンの効果で室内は薄暗い。ふたつの窓を覆うカーテンを開け放ち、数時間ぶりに光を取り込んだ。


朝起きたら、とりあえずコップ1杯のミネラルウォーターを飲むと決めている。

常温で置いていたペットボトルからコップに注いでいたところで、何かを床に落とすような物音が壁越しに聞こえ思わず手を止めた。

あまり大きな音ではないにしろ、はっきり耳には届いたそれ。私は何とも言えず小さく息を吐き、コップに口をつける。


……ここは角部屋だから、壁越しの物音の発生源といえば左隣りの近衛課長しかいない。

しばらく隣りが空き室だったおかげで忘れかけてたけど、このアパートかなり壁が薄いみたいなんだよね。

ってことは、さっきの私がそうだったように、こちらの物音も近衛課長に聞こえやすくなっているということで。……別に普段からうるさくしてるつもりもないけど、やりづらいなあ。
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