御曹司と愛され蜜月ライフ
……びっくり、した。
心臓はまだバクバクと激しく暴れている。視線をおぼんに固定したまま、なんとか心を落ち着けようとした。
触れられたわけでもないのに、身体中が熱い。
「……卯月?」
私の両手がふさがっているからか、課長が今度はわざわざ玄関におりてドアを押し開けてくれている。
不思議そうに私を呼ぶその顔を、ぼうっと見上げた。
ああ私、どうかしてる。
課長のグリーンシトラスの香りが離れた瞬間、すごくホッとして。
でもそれと同じくらい──さみしい、なんて。
「……あの、課長」
「ん?」
課長はすぐに反応してくれる。
つぶやいてから、直後に後悔しかけた。
けれど、覚悟を決めて。私は小さく息を吸い込む。
「あの、……もしよかったら、ですけど」
恋なんていらない。
ハイスペック御曹司なんて関わらない方がいい。
このまま誰にも心乱されることなく、変化のない毎日をただ淡々と生きていたい。
だって、そうやって過ごしていれば──……誰かに裏切られて絶望することも、自分の心が傷つくことも、なくなるでしょう?
心臓はまだバクバクと激しく暴れている。視線をおぼんに固定したまま、なんとか心を落ち着けようとした。
触れられたわけでもないのに、身体中が熱い。
「……卯月?」
私の両手がふさがっているからか、課長が今度はわざわざ玄関におりてドアを押し開けてくれている。
不思議そうに私を呼ぶその顔を、ぼうっと見上げた。
ああ私、どうかしてる。
課長のグリーンシトラスの香りが離れた瞬間、すごくホッとして。
でもそれと同じくらい──さみしい、なんて。
「……あの、課長」
「ん?」
課長はすぐに反応してくれる。
つぶやいてから、直後に後悔しかけた。
けれど、覚悟を決めて。私は小さく息を吸い込む。
「あの、……もしよかったら、ですけど」
恋なんていらない。
ハイスペック御曹司なんて関わらない方がいい。
このまま誰にも心乱されることなく、変化のない毎日をただ淡々と生きていたい。
だって、そうやって過ごしていれば──……誰かに裏切られて絶望することも、自分の心が傷つくことも、なくなるでしょう?