いい人に恋してます。
「あのさ、白石、」

どこか緊張を孕んだ声で柏木さんが切り出す。

いやだ、聞きたくない。

「ほんと、ごめん。」

そう言って勢いよく頭を下げる柏木さん。

自然に自分の身体を抱えるようにして聞いていた私は、なんのことか分からずに目を見開いた。

なに、なに?何事?

「遅くなったけど、クリスマスの夜のことちゃんと謝りたくて。」

どきっ。心臓が痛いほどに脈をうつ。

真相なんて聞きたくない。

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