天使のメガネ



「いやいやいやいや」


女性はあっさりと、納得しなかった。


「あの、手品と言うんですか、何と表現したら良いか……」


質問に詰まっている。


「とにかく、消えてしまったんですよ。ザルごと」


「そして食べ終わったザルが忽然と姿を現す」


女性は興奮しきりである。


ふと、アルスが気になって私は隣を見てみる。


アルスは空とぼけた表情で、口笛を吹いていた。

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